生産性

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本日付の朝日新聞の記事を読んで違和感があったので記す。

その記事は経済面に掲載の編集委員のコラムで、「生産性向上ー『余裕』が生み出す好循環ー」と題し、とあるサービス業がテクノロジーの導入で人手不足や長時間労働を解消した例が示され、結果、生産性の向上に寄与したということが書いてある。

主旨はきちんと伝わるし、論理展開に破綻はない。が、気になったのは導入部分である。その部分を引用する。
生産性が低いと言われる日本のサービス業、とりわけ飲食業は深刻な人手不足にも直面する。

謎なのは冒頭も冒頭「生産性が低いと言われる日本のサービス業」の部分、生産性が低いと言われているのか?日本のサービス業は?

生産性が低いということは、もっと少ない人数で、もっとサービス向上を、ということなのか?外国はそうなのか?ただでさえ日本のサービス業は過剰と言われているのに、まだ足りないのか。

だいたい世間一般で言われている「日本は生産性が低い」というのは主にホワイトカラーを指しているのでないか。

また、サービス業が軒並みテクノロジー導入により省力化を進めることは一般の労働者にとって朗報なのか。サービス業に従事している日本の労働者は2千万人ほどだ(総務省統計局 労働力調査2017年)。省力化は巡り巡って消費者を減らすことにつながらないか。経営者からするとコストダウンかつ人手不足解消で問題解決かもしれないが、問題を外部化させているだけであると思う。

では人手不足はなぜ起きているのか?ひょっとすると賃金が安すぎるからかも。生活がままならない賃金では人が来るはずはない。では賃金を安くせざるを得ないのはなぜだろう。それは価格競争のためである。

一切合切は「最低賃金を上げる」ことで解決すると思うがどうか。実施直後は人件費高騰により、負のフィードバックが作用するだろう。中には人手不足にプラスして人件費高騰で倒産する企業が出て来るかもしれない。けれどもそれも自然の摂理とも言えないだろうか。ブラック企業は淘汰されるだろうし、生産性を上げざるを得なくなる。これまでやってきてた、人件費を限りなく低くして生産性を上げる方法も通用しない。

やがてその制度に順応し、質の高い雇用が見込まれ、巡って消費が増え企業に返ってくると思うがどうか。ただしこのプランは実行後即結果が出るものではない。結果が出るまで結構時間がかかると思う。その長い時間を納得してもらえるかどうかだ。

まとめると、
現在:人手不足
対処法:最低賃金爆上げ
結果:人件費高騰→ブラック企業倒産
またその結果:働き手が新規に生み出され、生存競争に残ったホワイト企業に職を求める->人手不足解消

計算が合うように思えるが、経済成長率は下がるかもだ。後進国ならまだしも、下がったら何かまずいのか?